土田博士
「前回、
主人公に『憧れの人』(目標になる人)を作ろうって話をしたけど、下のキャラクターに、何か共通点は思いつかないかな?」

シャンクス(『
ONE PIECE
』)

ジン(『
HUNTER×HUNTER
』)

パズーの父(『
天空の城ラピュタ
』)

アバン先生(『
DRAGON QUEST ダイの大冒険
』)
まり子ちゃん
「そうですねえ、みんな、物語の冒頭で主人公と別れちゃうか、最初からいないかですね」
土田博士
「そう! そこがポイントだ。
『憧れの人』はカリスマ性がないといけない。そのためには、主人公のすぐ近くにいちゃだめなんだ。
遠くにいればいるほど、カリスマ性がわいて、憧れが募るんだ」
まり子ちゃん
「たしかに、憧れの人がいつもすぐ隣にいたら、ありがたみが薄れちゃいますね。神様は人の前に出てきませんものね」
土田博士
「だからシャンクスも、ジンも、アバン先生も、パズーのお父さんも、みんな最初からいないか、物語の冒頭で主人公と別れるんだ。
まり子ちゃん
「あ、それって、『欠損』とも似てますね。憧れの人がいなくなっちゃうからこそ、『会いに行こう』という目標が生まれますね」
土田博士
「いいところに気が付いたね。ルフィはシャンクスに、ゴンはジンに会いに行くことが物語の目的になっているね」
まり子ちゃん
「多くのマンガで同じ手法が使われているんですね。私も真似してみっと!」
土田博士
「いつの時代も、みんな好きなものは基本的には変わらないって事だね」
まり子ちゃん
「そうなると、『
ヒロアカ
』のオールマイトもいなくなっちゃうんでしょうか?」

土田博士
「まだ分からないけど(※単行本9巻時点)、まず間違いなく、近い将来オールマイトは主人公のデクの前からいなくなるだろうね」
「憧れの人」を乗り越えよう
土田博士
「『憧れの人』を設定したら、最終的な目標は、その憧れの人を超えることだ! 憧れだった人を超えることで、主人公の成長を最も明確に描くことができるんだ」
まり子ちゃん
「『乗り越える』って、具体的にはどうするんですか?」
土田博士
「例えば
シャンクス
を乗り越えるには、ルフィは海賊王になればいい。
アバン先生なら、アバン先生の仇であるハドラーを倒せばいい。
パズーなら、ラピュタを見つければいいんだ。
憧れの人が達成できなかった目標を達成したり、憧れの人を倒した敵を倒したりすれば、憧れの人を乗り越えたことになるんだ」
まり子ちゃん
「なんか、憧れの人は、乗り越えられるためにいるみたいですね」
土田博士
「その通りだよ。
憧れの人は、主人公に乗り越えられるためにいるんだ。そこをよく覚えておくとよいよ。
憧れの人を、敵に回すという方法もあるね。例えば、『
キャプテン翼
』のロベルト本郷。翼くんにサッカーの基礎を教えてくれた人だけど、「ワールドユース編」では、決勝戦の相手、ブラジルの監督として、日本代表の前に立ちはだかるんだ。
『
ガンバ! Fly high
』のアンドレアノフコーチも、途中でいなくなってしまう。そして、彼はオリンピックで、ベラルーシ代表のコーチとして、日本の前に立ちはだかる。
このように、憧れの人が最後の敵となる、というストーリーも、長編マンガではよく見られることだよ」
まり子ちゃん
「なんか古い漫画が多いですが、昔からずっと同じ手法が使われ続けてるって事ですね」
土田博士
「『キャプテン翼』も『ガンバ! Fly High』も古いマンガではあるけど、『努力』『友情』『憧れ』『勝利』といった、いつの時代も通用する漫画の教科書のような演出が沢山描かれているから、参考になると思うよ」
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