土田博士
「まり子ちゃんは好きな男の子がいるかい?」
まり子ちゃん
「え!? 何ですか突然! セクハラですか!?」
土田博士
「いいじゃん、教えてよ~。誰にも言わないからさ~」
まり子ちゃん
「やめてください! 訴えますよ! そして勝ちますよ!」
土田博士
「じゃあ、僕にじゃなくて、友達に教えてことはあるかい?
友達と好きな子の言い合いっこして、『秘密だよ』『誰にも言っちゃだめだよ』なんてやったこと、あるんじゃない?」
まり子ちゃん
「それは…(*ノωノ)
でも、それはすごく仲がいい子、1人2人だけですよ! 誰彼構わず教えたりしません!」
土田博士
「そう! 普通、秘密ってのは、特別な人しか知らないことなんだ。今回は『
キャラクターに秘密を作ろう』って話をするよ」
まり子ちゃん
「そのためにセクハラしたんですか…(怒)」
秘密を知ると、相手が身近になる
土田博士
「さっき、秘密は友達にしか教えないって言ったよね。じゃあ、友だちから、『他の子に言っちゃだめだよ』って、秘密を教えてもらったら、どんな気持ちになるかな?」
まり子ちゃん
「えっと、そうですね…。嬉しいかな。なんか、特別な感じがして」
土田博士
「そう、誰かと秘密を共有すると、その相手と特別な関係になった気がするよね。要は、相手をより身近に感じられるようになるんだ。この心理を、漫画にも利用するんだ」
代表格はスーパーマン
土田博士
「まり子ちゃんは、スーパーマンは知ってるよね」
まり子ちゃん
「詳しくはないですけど、一応」
土田博士
「彼の正体はクリプトン星から来た宇宙人なんだけど、そのことは本人以外誰も知らない。でも、本当は、彼以外にも真実を知っている人がいるんだ。誰だと思う?」
まり子ちゃん
「え? さあ、誰かいましたっけ…?」
土田博士
「それは、読者(視聴者)だよ!」
まり子ちゃん
「ひっかけ問題ですか!?」
土田博士
「まあまあ。
読者(視聴者)主人公と秘密を共有することで、より主人公を身近に感じられるようになるんだ。例えば、秘密がバレそうになったとき、『どうしよう、どうしよう』という主人公の気持ちに、すごく共感しやすくなるんだ。
主人公と秘密を共有するのは、読者が主人公に共感しやすくなるための、いい手法なんだよ」
まり子ちゃん
「宇宙人みたいな読者から遠い存在でも、読者が身近に感じやすくしようってことですね」
土田博士
「そうだね。『読者がキャラクターに共感する』ということは、漫画を描くうえで絶対的に意識しなければいけないことだから、常に頭に入れておこう」
秘密を持つ主人公の例
土田博士
「ヒーロー以外にも、秘密を持つ主人公は多いよ。『
名探偵コナン
』が代表例だね。
コナン君には、言うまでもなく、『正体が工藤新一だ』という秘密がある。そのことは、幼馴染の蘭ちゃんにも秘密だ。
『コナン』が連載開始から20年以上経っても人気なのは、この秘密のおかげでもあるだろうね。『コナンの正体はバレちゃうんだろうか。どうなるんだろう』ということが知りたくて、いつまでも読み続けてしまうんだ」
まり子ちゃん
「たしかに、コナンくんの正体がバレそうになると、ドキドキしますね。
そうか、だから時々、蘭ちゃんに正体がバレそうになるんですね! 読者が飽きないように!」
土田博士
「青山剛昌先生は、実に見事な設定を作りだしたね。
ドラマや映画にもなった『
信長協奏曲
』も同じだ。
主人公のサブローは、現代からタイムスリップしてしまう。そして、偶然本物の信長と顔がそっくりで、信長の身代わりとして、信長の地位についてしまうんだ。
その秘密を知っているのは、サブローと本当の信長の2人だけ。この秘密がバレてしまうんじゃないか、サブローと本当の信長の関係はどうなってしまうのか、それが知りたくて、読者は読み進めてしまうんだ。
この『主人公が秘密を持っている』というところが、他の信長漫画との差別化を図って、大きな人気を得ることができた理由の一つだと思うよ」
まり子ちゃん
「バレたらどうしようっていうのは、本当にドキドキしますね。
そういえば、『
僕のヒーローアカデミア
』でも、主人公の出久は、オールマイトの『個性』を受け継いだっていう秘密がありますね。
オールマイト本人にも、活動時間が1時間しかないっていう秘密がありますね。どっちもバレたらたいへんで、この秘密を守りながら戦わなくちゃいけないっていうのが、バトルに緊張感をもたらしてますね」
土田博士
「いい分析だね。
主人公に秘密を持たせることで、読者との距離を近づける。
同時に、秘密がバレるんじゃないかというドキドキ感で読者を引っ張ることができる。
主人公づくりに困ったら、秘密を持たせよう。これは鉄板ネタだから覚えておこうね」
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