土田博士
「まり子ちゃん、君の好きなものは何だい?」
まり子ちゃん
「お金!」
土田博士
「な、なかなかちから強く言ったね…。じゃあ、嫌いなものは何だい?」
まり子ちゃん
「税金!」
土田博士
「まだ払ってないだろ、君は…。じゃあ得意なものと苦手なものはあるかい?」
まり子ちゃん
「得意なものは借金の踏み倒し、苦手なものは貯金です」
土田博士
「君の人生が凄く不安になってきたよ…。それはそうと、今回のテクニックは、キャラクターに
『好きなもの』
『嫌いなもの』
『得意なもの』
『苦手なもの』
を作ろうという話だよ」
ドラえもんの好きなものと嫌いなもの
土田博士
「まずは、もはや漫画界の古典とも言える『ドラえもん』を見てみよう。ドラえもんの好きなものは何だい?」
まり子ちゃん
「ドラ焼き!」
土田博士
「そうだね。多分ダジャレで決めただけだと思うけど、『ドラえもんと言えばドラ焼き』『ドラ焼きと言えばドラえもん』というぐらい、キャラクターのイメージが定着しているね。『ドラえもんどら焼き』みたいな商品も売られているよ」
まり子ちゃん
「また藤子プロにロイヤリティーが入るんですね。うらやましいなあ」
土田博士
「一方、ドラえもんの嫌いなものは?」
まり子ちゃん
「ネズミですよね」
土田博士
「そう、ドラえもんはドラ焼きが好きで、ネズミが嫌い。これはもう日本人なら知らない人がいないぐらい常識的なことだ。『好きなもの』や『嫌いなもの』の設定は、印象に残るキャラクターを作るには、欠かせないことなんだ」
まり子ちゃん
「そういえば、新学期に自己紹介する時も、『好きなものは○○です』みたいに自己紹介することが多いですよね」
土田博士
「『好きなもの』や『嫌いなもの』は、それぐらいキャラクターを表すんだよ」
のび太たちの好きなものと嫌いなもの
土田博士
「のび太たちにも『好きなもの』や『嫌いなもの』があるよ。ちょっとまとめてみよう」
|
好きなもの |
嫌いなもの |
得意なもの |
苦手なもの |
ドラえもん
 |
ドラ焼き |
ネズミ |
のびたの
面倒? |
歌
じゃんけん |
のび太
 |
昼寝
しずかちゃん |
勉強 |
射撃
あやとり
昼寝 |
勉強
スポーツ |
しずか
 |
お風呂
バイオリン
焼き芋 |
カエルや
毛虫など |
勉強 |
バイオリン
(自覚無し) |
ジャイアン
 |
歌
けんか
野球
ままごと |
勉強 |
野球
なぞなぞ |
歌
(自覚無し)
母ちゃん |
スネ夫
 |
自分
自慢
高級品 |
他人に自慢
されること |
おべっか |
ジャイアン |
ちょっと違う意見の人もいるかと思うけど、だいたいこんな感じだね。
まり子ちゃん
「たしかに、のび太の射撃とか、しずかちゃんのお風呂とか、ジャイアンの歌とかは、特に有名ですよね。彼らのキャラクターに不可欠な特徴ですね」
土田博士
「以前も、
キャラクターは極端に描けって言ったけれど、『好きなもの』や『嫌いなもの』なんかを極端に描くと、面白いキャラクターが作りやすいよ。
お風呂好きな人も、歌が好きな人もいるけれど、しずかちゃんのお風呂好きとか、ジャイアンの歌とかみたいに、極端に描くと、こんなに何十年も読み継がれるキャラクターになることもあるんだ」
意外性(ギャップ)をつくれ
土田博士
「ところで、ドラえもんは猫なのに、ネズミを嫌いだというのは、面白いと思わないかい?」
まり子ちゃん
「たしかに、猫ならネズミを獲るのが得意じゃないといけないのに、逆に苦手というところが、ドラえもんの特徴ですね」
土田博士
「こういうふうに『好きなもの』『嫌いなもの』『得意なもの』『苦手なもの』のなかに、ちょっと意外なものを入れると、キャラクターが印象深くなるよ。
普段何にもできないのび太が、射撃だと天才的だ、というのは、映画でも何度もクライマックスで使われるほど、印象深い設定になっているね。これも、のび太の普段とのイメージとのギャップが生み出す面白さだね。
あんまり知られていないけど、しずかちゃんが焼き芋が好きだというのも、ジャイアンがままごとが好きだというのも、意外性があるね。
こういう風に、『あれ、こいつ、こんなのが好きなんだ』とか『こんなのが苦手なの?』とか、思える意外な点を作ると、キャラクターにオリジナリティがぐっと増すよ」
まり子ちゃん
「以前やった、
意外な組み合わせの応用ですね」
土田博士
「おお! よくわかったね。
正直なところ、人間、全く新しいキャラクターを生み出すなんて不可能だ。だから、意外な組み合わせをすることで、新しいキャラクターを生み出すんだよ。
今回のポイントは
・好き、嫌い、得意、苦手を設定しよう
・意外なものを好きにしたり、苦手にしたりしてみよう
という2点だよ。このポイントを押さえておくと、新人賞で目立てるオリジナルキャラクターを作りやすくなるはずだ。
逆に言うと、『好き』も『嫌い』も『得意』も『苦手』も設定されていないキャラクターは、何の面白みもなくて、新人賞では100%落ちるから、注意しようね。4要素全てを新人賞の短いページに入れることは難しいけど、最低限2つぐたいは入れて、キャラクターを印象深くしたいね」
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