まり子ちゃん
「博士―、あたし、スポーツ漫画描いたんですけどー、友達に『よくわからない』って言われちゃいました。どうしたらいいですか?」
土田博士
「どれどれ? 見せてごらん。カバディ漫画!? 珍しいね。ふむふむ…。
身長2メートルの巨大な女子高生が、宇宙人相手にカバディ宇宙カップ優勝を目指す話!?
新しすぎるだろ!!」
まり子ちゃん
「新しくていいじゃないですか。オリジナリティが大事だって、先生教えてくれたでしょ?」
土田博士
「だからって、これじゃあ読者はついてこないよ。
今日は、
【メジャー】と【マイナー】を組み合わせよう、という話をしてみよう」
3つのバスケ漫画
土田博士
「漫画を描くときのコツは、
【メジャー】なテーマには、【マイナー】な演出を。【マイナー】なテーマには、【メジャー】な演出を入れることだよ」
まり子ちゃん
「どういうことですか?」
土田博士
「例えば、野球とかサッカーとかメジャーなテーマを選ぶなら、奇をてらったキャラクターやストーリーの方が、他と差別化が図れて面白い。
一方、カバディみたいなマイナーなテーマなら、オーソドックスなキャラクターやストーリーの方が読者はついてきやすいんだ。
具体的に、バスケット漫画を3つ挙げてみよう。
『スラムダンク
』『ブザービーター
』『黒子のバスケ
』だよ」
まり子ちゃん
「なんかこのブログ、『スラダン』と『黒バス』を例に出すこと多くないですか?」
土田博士
「…、いいじゃないか。好きなんだから。
スラムダンクの連載開始は1990年。まだバスケットはメジャースポーツとは言えなかった。だから、当時ブームだった
ヤンキー漫画として始まり、キャラクターも、あんまり奇をてらってへんなキャラは出てこないよね。バスケットという、当時としては【マイナー】なテーマに、【メジャー】なヤンキーテーマを合わせたんだ」
まり子ちゃん
「そういえば、当時はヤンキー漫画って人気だったらしいですね。当時としては、ヤンキーやメジャーな人気テーマだったんですね」
土田博士
「『スラダン』の大ヒットで、バスケ漫画があっちこっちで量産され、少年漫画界において、バスケットは一気にメジャースポーツになったんだ。
そこで、井上雄彦先生が次に描いた『ブザービーター』は、スラムダンクと全く違って、宇宙を舞台に、宇宙人を相手にして、地球代表として戦うんだ。【メジャー】なバスケに、宇宙という【マイナー】なテーマを掛け合わせたんだよ」
まり子ちゃん
「えらい違いですね。
たしかに、『ブザービーター』も面白いですけど、『スラダン』の前に発表していたら、人気は出なかったかもしれませんね。バスケがメジャースポーツになっていたからこそ、宇宙だの宇宙人だのを出すことができたんですね」
土田博士
「その通りだと思うよ。
そして『黒子のバスケ』。これは高校バスケが舞台だから、『ブザービーター』のように宇宙のようなとんでもないことはしてないけど、影が極端に薄いという、スポーツ漫画の主人公らしくないキャラクターが主人公で、『スラムダンク』と比べると違いがよくわかるよ」
まり子ちゃん
「そうやって具体的に見てみると、【メジャー】と【マイナー】を掛け合わせる、という意味がよくわかりますね。
私はカバディというマイナーなスポーツに、宇宙人とか宇宙カップとか、マイナーな要素を掛け合わせてしまったから、友達から『よくわからない』って言われちゃったんですね」
スポーツ漫画以外の具体例
土田博士
「この【メジャー】と【マイナー】という組み合わせは、スポーツだけじゃなくて、色々なところに応用できるよ。
『
べるぜバブ
』なら、ヤンキーという【メジャー】なテーマと、子育てという【マイナー】なテーマを掛け合わせてるね。
『
暗殺教室
』なら、凄い先生がダメ生徒を鍛え直すという、『金八先生』みたいな【メジャー】な学園もののテーマと、超生物とか暗殺とか【マイナー】なテーマを掛け合わせてるよ。
『
聲の形
』も、聾唖者という、難しい【マイナー】なテーマを表現するために、学園ものという少年マンガにおいてもっとも【メジャー】なテーマと掛け合わせているね」
まり子ちゃん
「そうやって見てみると、学園ものという【メジャー】なテーマに、ヤンキーという【メジャー】なものを掛け合わせても、新しさがなくて面白くなさそうですし、聾唖者という【マイナー】なテーマに【超生物】というマイナーなテーマを掛け合わせても、訳わからなくなりそうですね(笑)」
土田博士
「耳が聞こえない超生物の物語…。読んでみたい気はするけど、まず間違いなく、人気は出ないだろうね(笑)。ほとんどの読者には理解不能な漫画になると思うよ」
まり子ちゃん
「じゃあ、次の漫画では、カバディという【マイナー】なテーマに、金儲けという【メジャー】なテーマを入れることにします! 金儲けは、人類普遍のメジャーなテーマですよね!」
土田博士
「そうだね…って違うよまり子ちゃん!! そうじゃなくて、マイナーなスポーツを選んだんなら、ストーリーやキャラクターはオーソドックスなものにしろってことだよ!
金儲けは、人類レベルでは【メジャー】かもしれないけど、スポーツ漫画としてはメチャクチャ【マイナー】なテーマだよ! カバディと金儲けじゃ、どっちも【マイナー】で、【マイナー】の二乗でまたわけわからなくなるよ!
これを読んでいる人は、【メジャー】と【マイナー】の意味を取り違えないように気を付けてね。人類レベルでメジャーかマイナーかじゃなく、スポーツ漫画としてとか、恋愛漫画としてとか、そのレベルで考えてね。
ちなみに、金儲けとスポーツだけど、野球という【メジャー】なテーマに、金儲けという【マイナー】なテーマを掛け合わせた漫画なら、『
グラゼニ
』という漫画があるよ。
まとめると
【メジャー】×【マイナー】が鉄板!
【メジャー】×【メジャー】は普通すぎ。
【マイナー】×【マイナー】は理解不能。
これを頭の中に入れて、漫画を描き始めるといいよ。普通すぎたり、理解不能な漫画になったりしないように気をつけよう」
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