まり子ちゃん
「博士、
前回キャラクターは『普通の人の延長線上にある』って話をしましたけど、変な特徴を思いついても、全然物語が出来ないです…」
土田博士
「よし、今回は、キャラクターは『意外な組み合わせで作る』という話をしよう」
まり子ちゃん
「意外な組み合わせ?」
土田博士
「そうだよ。
『NARUTO』の作者の岸本先生も、マンガのオリジナリティは『意外な組み合わせ』で出すって言ってるんだ。意外な組み合わせとは、『○○なのに××』というものだよ。具体例を見てみよう」
「意外な組み合わせ」の代表は両さん
まり子ちゃんは、この男を知っているかい?」
まり子ちゃん
「
『こち亀』の両さんですね」
土田博士
「この両さんは、警察官なのに、遊びの天才で、滅茶苦茶な事件ばかり巻き起こしているんだ。普通は『警察官』というと、『まじめ』『厳格』『怖い』というようなイメージだよね。でも、両さんは警察官なのに、『まじめ』と真逆のキャラクターなんだ。この『意外な組み合わせ』が、両津勘吉というキャラクターを面白くしているんだよ」
まり子ちゃん
「『遊び好き』という特徴を大げさに描いて、それをより際立たせるために、真逆のイメージの警察官という職業にしているんですね」
土田博士
「その通りだよ。他にも、この『○○なのに××』で作っているキャラクターはたくさんいるよ。
『パタリロ!』の主人公は、10歳なのに大天才で王様だし、王様なのに、小銭を集めるのが大好きなんだ。
『るろうに剣心』の緋村剣心は、女の子みたいな顔に、優しい性格をしているけど、バク案つ最強の男、人斬り抜刀斎だったね。
左:普段の剣心 右:人斬り抜刀斎としての剣心
職業とのギャップや、見た目とのギャップが、キャラクターを面白くするんだ」
まり子ちゃん
「じゃあ、例えば、『優しい人』というキャラクターを描きたければ、逆に見た目を怖くしてみたり、殺し屋にしてみたりすると、意外なキャラクターになって面白くなるって事ですね」
「主人公なのに××」
土田博士
「職業や見た目以外にも、意外な『○○なのに××』もあって、その例が大ヒットした
『黒子のバスケ』だね。
主人公の黒子テツヤは、影が薄いという設定で、その影の薄さを利用してバスケで活躍するんだけど、普通主人公は目立ってナンボだよね。黒子の場合は、『主人公なのに影が薄い』という、見た目や職業とのギャップではなく、『主人公』という立ち位置とのギャップを利用しているんだ」
まり子ちゃん
「ちょっと珍しい例ですね」
土田博士
「でも、意外と他にも例があって、実は、
『テニスの王子様』の主人公の越前リョーマも同じ『主人公らしくない』キャラクターなんだ。
もともと作者の許斐先生は、少年マンガらしい元気で活発なキャラを主人公にしようとしていたんだ。このキャラクターが、途中から出てくる金太郎のことなんだけど、その設定では何度出しても連載会議を通らなかったんだ。
そこで思い切って、無口で唯我独尊の、主人公らしくない主人公を描いてみたら、連載会議に通って、大ヒット漫画になったんだ。
『のだめカンタービレ』ののだめ、少女漫画の主人公なのに汚部屋に住んでいたり、
『俺物語』の剛田猛男も、少女漫画の主人公なのにごついゴリラのような男というところで意外性を出しているよ」
まり子ちゃん
「職業や見た目だけでなく、『主人公なのに××』とか『ヒロインなのに××』という手法もあるんですね」
土田博士
「そうだね。特に、新人賞では目立たないといけないから、思い切って、主人公らしくないやつを主人公にしてみるのは有効な手段だと思うよ。例えば、主人公なのに卑怯とか、少年マンガの主人公に小さい女の子とかね」