まり子ちゃん
「博士、博士。キャラクターが大事って言っても、すごいキャラクターなんて作れません!」
土田博士
「大丈夫だよ。『凄いキャラクター』と言っても、もしも全く僕たちと違う神様みたいなキャラクターだったら、読者の共感を得られないだろ? 『共感を得る』、これがキャラクターにとって一番大事なことなんだから、僕らの感覚と地続きじゃないといけないんだ」
まり子ちゃん
「言ってる意味がよくわかりません」
土田博士
「早い話、自分や周りの人の特徴を、極端に描けば、漫画のキャラクターになるんだ」
まり子ちゃん
「具体的に言うと?」
土田博士
「例えば『うる星やつら』の諸星あたるは、『女の子にモテたい』というキャラだ。
女の子にモテたい、というのは、世界中の男の子の共通の願いだ。そういう点では、諸星あたるは『普通の人』だと言えるね。
でも、諸星は普通の人より『モテたい』という欲望がすごくて、かわいい女の子を見るとすぐに声をかけるし、どんなに拒否されても女の子を追っかけまわすし、ラムちゃんに電撃攻撃されてもナンパをやめることはないんだ」
まり子ちゃん
「男の子がみんな持っている『女の子にモテたい』っていう普通の特徴を、極端に描いたんですね。ところで、男の子って、そんなに『女の子にモテたい』って思ってるんですか?」
土田博士
「それは…えーっと…」
土田博士
「それはさておき、高橋留美子先生は、この『普通の人の特徴を極端に描く』ことで特徴づけてるのがうまいね。例えば『らんま1/2』の良牙は極端に方向音痴だし、
「日本を代表する漫画である『ドラえもん』のキャラクターたちも、のび太なら『怠け者』という点を極端に描いているし、しずかちゃんは『お風呂好き』を極端に、ジャイアンは『乱暴者』というのを極端に、スネ夫は『自慢する』ところを極端に描いているんだ。
僕らの周りにも、ちょっと怠け者な人や、ちょっとお風呂好きな人や、ちょっと乱暴な人や、ちょっと自慢好きな人ならいるけど、それを極端に描くと、漫画のキャラクターになるんだよ。
↑極端な台詞
まり子ちゃん
「じゃあ、私は漫画が好きですけど、それを極端に描けば漫画のキャラクターになりますか?」
土田博士
「もちろん。例えば、地震になっても火事になっても、気がつかずに漫画を読み続けるとか、死んじゃっても『ONE PIECE』の続きを読みたくて生き返ってしまうとか、そういうふうに極端に描けばキャラクターになるし、どんどんストーリーも出来ていくね」
まり子ちゃん
「普通の人を極端に描く、少しずつ理解できてきました」
土田博士
「この後も、キャラクターの作り方を考えていこうね」