漫画はキャラクターが一番大事
土田博士
「まり子ちゃん、漫画で最も大事なことは何かわかるかな」
まり子ちゃん
「やっぱりストーリーじゃないんですか?」
土田博士
「もちろんストーリーも大事なんだけど、一番大切なことは、キャラクター、特に主人公なんだ」
まり子ちゃん
「ストーリーよりも、キャラクターが大事なんですか?」
土田博士
「そうだよ。『スラムダンク』井上雄彦先生も、『キャラクターさえちゃんと描けていれば、何をしようが、何もしまいが、ドラマになる』って言ってるんだ。逆に言えば、どんなにいいストーリーが思いついても、キャラクターが面白くなければダメだってことだね。
まり子ちゃん
「確かに、『日常系』なんて、本当に何も起きていないのに、キャラクターが日常生活送ってるだけでも楽しいですね」
土田博士
「その通りだよ、まり子ちゃん。アニメグッズも、ストーリーで売ってるんじゃなくて、キャラクターで売っているだろう? 読者が好きになるのは、ストーリーじゃなくて、キャラクターなんだ。キャラクターさえ面白ければ、どんなストーリーでも後からついてくる。
『ドラえもん』を考えてごらん。キャラクターさえしっかりできてしまえば、宇宙に行っても、恐竜の時代に行っても、深海に行っても面白いんだ。本当に人気漫画家になりたかったら、『漫画で一番大事なのはキャラクター』ということを、絶対に忘れてはいけないんだ」
まり子ちゃん
「なんとなくわかってきた気がします、博士」
土田博士
「だから、これだけは絶対に覚えておいてね。
マンガは、キャラクターの魅力を描くもの。
ストーリーは、キャラクターの魅力を見せるもの。
マンガを描く際には、『このキャラクターはこんな魅力があるキャラなんですよ』というのをしっかりと決めて、その魅力を見せるためには、どんなストーリーがいいのかを考えるという順番を、間違えちゃいけないんだ。
例えば、『決してあきらめないのが魅力なキャラクター』を主人公にするなら、次々と逆境が襲ってきて、皆が諦めてしまう中、主人公は絶対にあきらめない、というストーリーにすればいいし、『優しい』ことが魅力なキャラなら、他の人が手を差し伸べないような人にも手を差し伸べるストーリーにすればいいんだ」
まり子ちゃん
「ストーリーを先に決めてから、キャラクターを作ってはいけないんですか?」
土田博士
「もちろん、『甲子園を目指す野球漫画』とか『女の子がいっぱい登場するドタバタラブコメ』とか『7つの球を探す冒険』とか、流石にその程度のことは決めないと、キャラクターを作ることはできないだろうね。でも、細かいストーリー展開は、『キャラクターの魅力を出す』ということを意識して、キャラクター中心で作られるべきなんだ。そうじゃないと、新人賞にも通らないよ」
まり子ちゃん
「そういえば、新人賞の講評でも、キャラクターについての記述が多い気がします。じゃあ、キャラクターは、どうやって作ったらいいんですか?」
土田博士
「次回はキャラクターの作り方の基礎を見ていくことにしようね」